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アイルランド・オランダ旅行記

第6日「コネマラを周遊、モハーの断崖を経てキラニーへ」

[Japanese only]

 

2001年8月9日(木)

 

昨日の分で、宿泊した宿を具体的には紹介をしなかったが、ここはエリスベーグ・ロッジ(Errisbeg Lodge)というB&B形式の宿(写真:下左)。Errisbeg という高い丘を背景に建ち、澄んだ海(写真:下右)がすぐそばにある美しいロッジ。おかみさん Shirley とは今でもやり取りがあり、ここで紹介しても良いらしいので、連絡先を掲載します( errisbeglodge@eircom.net )。その立地からレンタカーで回る人でなければなかなか難しいが、とにかくおかみさんが素敵な人。最近も娘達の様子を気遣うメールをくれました。彼女は英会話教育の資格も持っていて、泊り込みでの夏期講習も請け負った事があるとのこと。宿泊希望の方はもちろん、アイルランドで英会話を物にしたいという方にも良いかもしれない。

朝食では、フルーツ・プレートを注文。もちろん、普通のアイリッシュ・ブレックファストもある。軽い朝になったけど、それはそれで良かった。食器にはこだわりが感じられ、建物にも好感。質の高い素材を使ってつくり、良く手入れしている。「安物の素材を使った作ったら、すぐに手直ししなくてはいけないでしょう」とはShirleyの談。少し無理しても良いものを手に入れて、大切に長く使う。Kanaoとしてはとても共感できる考え方。食器はラウンド・ストーンに窯があるそうで、このあたりの産。

 

エリスバーグ・ロッジでシェーリーと記念写真を撮ってお別れをする。メグミとケイコは1ポンドずつお小遣いをもらった。「何かキャンディーでも買いなさい」。素敵な人と出会い、別れる。旅をして本当に良かったと感じるひと時。

さあ、天気は快晴。コネマラのドライブ推奨路を疾走。やはりスコットランド西部の風景と似ているが、微妙に違う。兄弟というより従兄弟ぐらい。でもこちらの従兄弟の方がちょっと豊かに見える。少なくともここの土地は、羊だけじゃなくて牛や馬も養える。

道は時折海岸線に近づき、そして遠ざかる。海は青々として、陸にも高い木は見当たらない。陸地の側は、荒涼とした平原が続く遥か彼方に壁のような黒い山が見える。マドリードで見た赤茶色の大地の遥か彼方にそびえる壁のような黒い山脈を思い出した。ちょっと日本では見かけない景観。

時折車を止めては写真を撮る。でも今日はゆっくりとはしていられない。ゴールウェイまで戻り、モハーの断崖を経由してキラニーまで行かなければならないのだ。Kanaoはひたすらアクセルを吹かし、シフトチェンジし、ハンドルを切る。おつうはナビに徹するが、始終地図の読み方をめぐってKanaoと対立。R341からクリフデンを抜けてN59。海辺に別れを告げR336。ここで急に小高い丘の間に入る(写真:下左)。羊たちが点在し、この風景はまさにスコットランドだ。N59に入りひたすらゴールウェイに向かう。

ところで昨日の所に書き忘れたが、ケイコは乗り物に弱い。車でワインディングを飛ばしていると、かならずと言っていいほど酔って戻してしまう。イギリスもそうだけど、アイルランドもワインディングが多い。レンタカーやバスを利用される場合、車酔いする方はそれなりの準備をして行った方が良いだろう。なお Kanao は飛行機の中から Air Sick Back を失敬して持ち歩いていたが、かわいそうなケイコは「ゲーのふくろ」と名づけていた。

 

途中、素敵な川沿いの公園を見かけ、しばし休息。ここには豊かな森がある。標識には"An Rosan Village Park"と書いてある。少年たちが木の実を拾って遊び、少女たちが浅瀬で水遊びをしている(写真:上中)。水の色はなんと!!スコットランドと同じ琥珀色(写真:上右)。10年前の記憶が蘇る。そうだ、泥炭を抜けてきた水だ。スコットランドではこの水でスコッチウイスキーを作っていた。

Kanaoは少し写真を撮る。メグミもおじいちゃんのお古のカメラを持ち出し写真を撮る。小さな集落なのに、こんな素敵な公園があってうらやましい。

ゴールウェイ市街地は渋滞していたので、迂回してN6からN18。ここでやっと一息。ゴールウェイ郊外で洒落たホテルを見かけてレストランで昼食。サーモン料理がおいしい(写真:下左)。皆でパクつく。Kanaoはついギネスを注文。やはり美味い。N67からR477、R479と走り継ぐ。海岸線に沿った道だ。

 

もう少しでモハーの断崖というあたりで、ロバが群れをなす海岸沿いのお花畑に遭遇(写真:上中)。まさに絵のような風景。映画のセットみたいと言ってもいいかもしれない。何か出来すぎの感じ。思わず車をとめる。娘達はロバを見て大喜び。メグミはロバに触りたいのだが近くに来てくれない。ケイコは興味があるのだけれど、怖くて触れない。メグミはロバの写真を撮る。Kanaoは家族とロバの写真を撮る。ロバは何の写真も撮らない。でも幸せそうだった。

さてと、先を急ごう。その後、海を見下ろす城の横の急坂、その名もCastle Viewを上り詰める。ここでも写真撮影(写真:上右)。メグミはここで撮ったお城の写真で、学校の写真コンクールHeritageの部2位と校長先生推薦賞を獲得。Kanaoも撮ったけど、どこにも応募してません(笑)。

ようやくモハーの断崖に到着(写真:下左)。ここは典型的な観光地。巨大な駐車場があり大型観光バスが何台も乗り付ける。みやげ物屋があふれ、断崖には安全柵が設けられている。イニシュモアのドン・エンガスの方がずっと素朴な断崖だった。ここでドン・エンガスで出会ってお互いに写真を撮りあったカップルに遭遇。断崖友達だね。

とにかく、先を急ごう。今晩の宿泊地、キラニーはまだまだ先だ。

さて、いよいよ到着したキラニーの町は複雑。町に入ってからホテルに到達するのに小一時間かかった。同じところを何度もぐるぐる回る。ようやく探し当てたグレート・サザン・ホテルは別館。さらにぐるぐる回って、結局最初に迷ったあたりで本館を発見。もうちょっと分かりやすい地図が欲しいところ。表示もとても分かりにくい。

グレート・サザン・ホテルは5つ星。もちろん、高い。でも入り口は、「本当にここが入り口?」というぐらい殺風景。ベル・ボーイも居ない。車を乗りつけるような雰囲気でもない。ようやくポーターを見つけてスーツケースを運ぶのを手伝ってもらったが、「何でおれがこんな東洋人の荷物運びをしなけりゃならないんだ」という態度がアリアリ。悪いホテルじゃなかったけれど、このポーターだけは何とかして欲しい。

チェックインの後、街中に出て遅い夕食。開いているレストランは2軒だけ。子供づれだったのであまりお洒落すぎない庶民的な雰囲気の方を選択。アイリッシュ・シチューに挑戦しようとしたら品切れ。何でかしら無いけどアイリッシュ・シチューに縁が無い。味はまあまあだった。

キラニーは大道芸人が居たりして町の雰囲気はなかなか良いけれど、やはり観光客相手の場所だねぇ…というのが率直な感想。アラン・セーターのお店やみやげ物やなんかもたくさんありました。

Kanaoは部屋を抜け出しホテルのバーへ(写真:下中)。ヨーロッパの街に来てバーに入らないテは無いよな。ギターを弾き語る生演奏が洒落ている。近寄ってきた女性バーテンダーに「アイリッシュ・ウイスキーを飲みたいんだけど、何か推薦してくれない?ブッシュミルとタラモア・デューとジェムソンは飲んだことがあるから他のがいいんだけれど」と話し掛ける。「ではパワーズはいかがでしょう」「うん、それにしよう。どうやって飲むのが普通なの?ストレート」「そうですね」「じゃ、ストレート。チェイサーも下さい。」

Kanao の知っている日本やアメリカのバーでは、女性従業員の「女性」という部分が前に出てきて苦手だけれど、ここではそれが無い。服装からしてキッチリしていて気持ちがいい(写真:下右)。とてもビジネスライクにサービスしてくれて、その健康的でプロフェッショナルな感じがお洒落でかっこいい。とにかく一時も止まらずキビキビと働く。グラスを洗浄機にかけ、ナッツの在庫を調べ、冷蔵庫にビンビールを補充し、グラスを洗浄機から取り出して並べる・・・。常にやるべき事を探し、先を見越して動き続ける・・・。

 

パワーズの味は、まあ、アイリッシュウイスキーですね。やっぱりスコッチの方が好きだな。先ほどのバーテンダーがやってきてフォローする。「いかがですか?」「うん、おいしいよ。やっぱりストレートがいいね。」「実は、私はストレートで飲んだことはないんです…。」軽い照れ笑いを浮かべて彼女は去っていった。ベタベタと話し掛けるわけではなく、と言ってサービスがそっけないわけでもない。この絶妙の距離感がヨーロッパ風の大人の雰囲気を醸し出している。

うん、これ。これなんだよ。来て良かった。今日の走行は402km。ボロボロの脳みそにアイリッシュウイスキーが染みました。

 

気合を入れた写真は近いうちに Image Archives of Wanderer Kanao の方に掲載します。見てやって下さい。