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アイルランド・オランダ旅行記

第7日「最悪の日、濃霧のディングル半島、リング・オブ・ケリー」

[Japanese only]

 

2001年8月10日(金)

 

グレート・サザン・ホテルの朝も良い。素敵な食堂でアイリッシュ・ブレックファストを食べる(写真:下左)。メニューはいつもと同じ。でも流石は五つ星。一口食べてみれば素材の違いが歴然としている。ベーコンも卵もソーセージもミルクも、B&Bで食べるのより格段においしい。もちろん、どちらの方が良いという物ではなく、求めるべきものが違うのは説明するまでも無いですね?

  

小雨が降る中、ホテルの中庭を軽く散策する。このホテルは庭がとっても立派なのでこれを楽しまないと何のためにここに泊まったのか分からなくなりますよ(写真:上中)。一面ツタに覆われたホテル自体もなかなか素敵です。さて、荷物をまとめ、庭で記念写真を撮って出発。まず目指したのは湖畔に立つロス城。

車を借りて最初の給油。ここまで563kmでガソリンが32.2L…ってことは17.5km/L。なかなかのもんですね。32.2Lで22.5ポンドということは、\98/L。うっ、結構高い。今の日本のガソリンはいくらぐらいですか?マレーシアでは1.3リンギット/Lだから約\43/L。これに慣れているので、高いと感じたわけです。

道の分かりにくいキラニーなので、ガソリンスタンドでロス城への行き方を尋ねる。これまた道が分かりにくい。最後に曲がる角の表示も、それと知らなければ見落としそうな小さなもの。最後は馬糞が頼り…って変な話ですが、観光用の馬車が走っているわけです。湖の城は観光地。ってことは、路上の馬糞の跡をたどっていけば湖に行くはず…正解でした。湖は・・・まあ、日本にもありそうな湖(写真:上右)。メグミとケイコは鴨に夢中。風景はあまり興味が無いか・・・。湖畔では、お客になったわけでもないのに御者さんが「来い来い」と手を振って、馬車と一緒に写真を撮ってくれる。これがKanao一家の2002年=馬年の年賀状になりました(笑)。

さあ、今日は余裕のある一日・・・のはず。でもちょっとここまでにのんびりしすぎたので急いでディングル半島を目指そう。今日の予定はディングル半島を一周した後、リング・オブ・ケリーの先っぽにあるB&Bまで行く事。一応余裕を見た計画のつもりなのだけれど…。

道は快適で高速道路のよう・・・だったのだが突然普通の道に。しばらくして分かったのだが、こちらの自動車専用道路は日本とちょっと違う。日本の場合は高速道路が都市部の郊外を通り抜けているが、こちらでは町を出ると普通の道が広くなり高速道路に。そして次の町が近づくと普通の道になり街中へ。交通量が少ないからできる話だろう。日本の高速道路のようにその街をただ通り過ぎるだけということがない。

さあ、道は快適、快適…だったはずが、私達の前に突然の渋滞が。それも半端じゃない。ぜんぜん動かない。何か変だ。おつうとKanaoはしばらく我慢したあげく、次の町をバイパスする道を見つけて抜ける。キラニーからN72を通ってKillorglinという街を抜け、N70でディングル半島に行く予定だったのだが、その隣を走っているR563という道に逃げたのだ。ずいぶん時間を無駄にした。この町で何が起きていたのかは、後ほど嫌というほど身をもって知ることになる。

ようやくディングル半島に到達したが、雨。ひたすら雨。気分が滅入ってくるぐらい、雨。絶好のドライブコースのはずが、雨。写真も撮る気になれない。R561からN86に入り、突端近くの町、ディングルで一休み。ここはマリンスポーツの拠点になってて、なかなか活気がある。ダイバー向けのレストランで遅い昼食。マグカップで給仕された暖かいコーヒーがありがたい。こんな感じ、久しぶり。サンドウィッチもそこそこいける(写真:下中)。ウエイトレスは逞しくも可愛いダイバー娘。Kanaoは女の子ばかり見てるんじゃないかって?何の申し開きもございません(^^;;。

みやげ物屋を少し覗き、Kanaoはシャムロックの柄が入ったショットグラスを記念に買う(写真:下右)。娘達には英語の絵本など。ディングルの街は良さそうですよ。きっと。きっと天気がよければ素敵な街です(泣)。

 

再び出発。天気の悪さに半島の先端まで行くことは断念。そのままN86に乗って半島の反対側を通り戻る事にする。途中から霧まで出てくる。とても濃い霧で、絶景?だったはずの所が何も見えない。数メートル先までしか見えない細い道と右側の岩肌、左側の柵とその直ぐ下の草の生えた崖の始まりのところまで。きっとその先は落ち込んでいて、海が見えて、絶景だったはずだ(強く断言!)。悲しい。とにかく先を急ぐ。狭い道で対向車に気をつけながら、ただ走るだけの時間がノロノロと過ぎていく。

ようやくディングル半島を抜け、リング・オブ・ケリーを目指す私達の前に再び渋滞が。何か様子が変だ。馬がたくさん歩いている。馬を入れた貨車を引っ張っている車もたくさん居る。今度は抜け道も無い。仕方なく渋滞に耐えてKillorglinの町に到達してみると、そこは・・・馬市をやっていた。勘弁してよね。車は動かない。道は馬糞だらけ。時間があれば、車を停めて歩き回ると面白いんだろうけど・・・今日はリング・オブ・ケリーの先っぽまで行かなければならないんだ。

ようやくこの町を抜け、おつうの迷ナビに従って細い迷い道に。こうなるとさしものミシュラン地図も役に立たない。Kanaoは本能的に「こっちが海のはずだからここは右、ここは左・・・」と車を走らせる。まだ明るいけれど、もう7時過ぎ。まずい・・・。今日は余裕のある一日なんじゃなかったっけ・・・。あせる我らの前に突然の虹(写真:下左)。おおっ!虹だ。虹だ。虹だからどーした。こっちは忙しいんだ…というわけで、この間撮った唯一の写真がこの虹(^^;

 

教訓その7:旅程は余裕を持って組みましょう。レンタカー等で移動する時にはなおさらです。(そっ、そのつもりだったんですが(^^;;;)

教訓その8:旅程全てが好天気とは限らない。あきらめも肝心。

リング・オブ・ケリーとはキラーニーから突き出ている半島を一周する周遊路のこと(写真:上右、レンタカー屋さんの地図から)。その先端付近で周遊路を離れ、さらに海岸線沿いの道に。空が殆ど暗くなってきた。霧もすごい。道はどんどん細くなり、対向車がきたらどうやってすれ違おうかと心配する。「本当に、この道なんだろうか?」言葉に出せない不安が高まる。やがて道はとても急な登り坂に。2速ではとても登れないほど急で、道は車2台がすれ違えるかどうかというほど狭い。幸いなことに対向車は来ない。ヘッドライトだけが頼りだが、深い霧。左右は牧草地のような草むら。ジェットコースターで一番最初に高いところに引き上げられていくような気分。 

時間の動きが止まったんじゃないかと思い始めたころ、道は唐突に急な下りになる。対向車は相変わらず来ない。相変わらず霧は濃い。慎重に、慎重にかなり下ったところで、道はとつぜんワインディングになる。「勘弁してくれ・・・」。それからは両側が壁のようなブッシュの中を車を進める。エサを探す訓練のために迷路に入れられたネズミの気分。時折民家の前を通るが、果たして人がすんでいるのかどうかも分からない。唐突に看板。「St. Fionan's Bay」。やった、合ってる。この先にB&Bがあるはず。

夜9時過ぎ、B&Bについたとたん、犬の出迎え。さも当然と言わんばかりに車の中にまで入ってきて歓待してくれる。とにかく疲れた。家のドアを空けた時に出迎えてくれたお上さんの言っていることが分からない。「何事だ?」といっているのかな?・・・。しばらくしてやっと脳が働き出す。何だ、普通の挨拶じゃないか・・・"How are you?"。あんまり大丈夫でもないけれど、「大丈夫です。でもひどい霧で、道に迷ってしまって。途中の町ではお祭りでとんでもなく道が混んでいたし。」「そうなのよ。別のお客さんもそう言っていたわ。夕食は済んでいるわよね?」「いえ、それどころじゃなくて。このB&Bのそばに食べられるところがあるだろうと思ってました。」「この近くは8時には閉まってしまうの。一番近いレストランまで10マイルはあるわ」「・・・」「サンドウィッチでよければ用意できるけど、とうする?」「是非お願いします」

Web上の写真で想像したB&Bは、砂浜の上に建っている体育系の訓練所のような感じだったが、実物はとても可愛いこじんまりとしたB&Bだった。壁の色も部屋によって黄色、ピンクと塗り分けられ(写真:上右)、悪趣味に陥る寸前のところで可愛らしくまとまっていた。メグミもケイコもようやく車から開放され、部屋に入って喜んでいる。やがて用意されたサンドウィッチを感謝を込めて皆でいただいた。おいしかった。

残念ながら何度かメールをやりとりした主人には会えなかった。地元の少年フットボールチームのコーチとしてダブリンで行われる試合に行っているのだそうだ。

今日の走行は238km。えっ?本当に238km?マイルの間違いじゃない?たったの238km!そうだよね。250km以下なら楽勝だと思って計画したんだから。それにしては、なんだんだこの疲れは!楽しみにしていた、疲れを癒してくれるはずのギネスも無い。地獄だ。

気合を入れた写真は近いうちに Image Archives of Wanderer Kanao の方に掲載します。見てやって下さい。